チャールズ・ダーウィンの進化論は、彼が二十代前半に博物学者として乗り組んだ英海軍の軍艦ビーグル号で世界をめぐり、各地で植物や動物などの生物を観察し、採集し、記録し、直感や疑問と時間をかけたその検証を繰り返して考察した結果だということは広く知られています。
有名なのは南米沖の太平洋にあるガラパゴス諸島で、フィンチという小さな鳥の形状が島ごとに微妙に異なっていることに着目し、単純にいえば、環境に適応するよう変化し、変化したものが生き残ってきたという仮説を立ててそれを説得力のある方法で示したわけです。
海外には信仰上の理由で進化論を否定する人も一定数いて、昨今の超大国の指導者を見ていると人類が進化しているとはとても思えなかったりもしますが、それはともかく、秋の夜長に「進化とは何なのか、変化とどう違うのか」などについて思いをめぐらせるのも刺激的ですし、自分の生活を見直すことにつながるかもしれません。
まずはダーウィンの進化論の概略と現在の評価について
『ダーウィンの「種の起源」: はじめての進化論』
サビーナ・ラデヴァ著、福岡 伸一訳
岩波書店
令和になってから出た比較的新しい本で、子供向けの絵本という体裁ですが、大人でも楽しめます。わかりやすいという点では、これが一番ですね。
『世界一シンプルな進化論講義 生命・ヒト・生物――進化をめぐる6つの問い』
更科功著
講談社
2025年に出たばかりの新書で、著者は進化論関係の解説書も数多く出している人です。進化論の問題点について、きちんと押さえてあります。
とはいえ、ダーウィンの著作自体を読んでみたいという方には
『種の起源』
チャールズ・ダーウィン著 渡辺政隆訳
光文社
人気の古典新訳文庫シリーズの1冊。文章も読みやすいです。
さらに、そもそもの発想のきっかけになった
『完訳 ビーグル号航海記 上、下』
チャールズ・ダーウィン 著、荒俣宏訳
平凡社
ダーウィンの著作としては、こちらがおすすめかな。
興味深い出来事が次から次に続きます。
ダーウィンから離れて、進化を考えてみましょう
『進化論の進化史: アリストテレスからDNAまで』
ジョン・グリビン、メアリー・グリビン他著 水谷淳訳
早川書房
進化論を考えたのはダーウィンだけじゃないよという本。
それは確かにそうですね。ダーウィンの同時代にも生物の分布境界を示すウォレス線で知られる生物学者で博物学者のウォレスもいます。
科学や技術的な立証手段が発展し進化すればするほど、新しい発見や知見が生まれてくるわけで、なにもダーウィンだけを神格化する必要はありませんよね。
といって、「ダーウィンの言ったことは全部ウソだ」という極端なのもちょっと、ね。
そういう本も実際に日本でも出たりしていますが、こういう刺激的で扇情的なタイトルはSNSや動画サイトの(話題になれば収益化につながる)炎上商法の影響でしょうか。
とはいえ、ダーウィンの進化論では十分に説明できないことも色々あるわけで、その例として
『進化論の5つの謎: いかにして人間になるか』
船木亨著
筑摩書房
さらに
『文化進化論:ダーウィン進化論は文化を説明できるか』
アレックス・メスーディ著、竹澤正哲、野中香方子訳
NTT出版
いかがでしょう。
生物学では、「進化」は「変化」を指すが、それ以上の意味はないのだそうです。
つまり、善悪や価値に関係する判断については留保されているわけです。
要するに、進化したからといって「進歩」したわけではない、「進化イコール進歩ではない」のですね。



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